繰り返し発生する地震に対し模擬地震動・時刻歴地震応答解析

木造耐震診断・補強設計ソフトEQP

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(意匠設計事務所でもできる精密耐震診断プログラム)

✔ 現在、建物の耐震設計・補強技術は、既存木造工法の再評価だけでなく、免震・制振構造などの先端的耐震システムを一般木造住宅に折り込む方向に向かっています。制振構造については、木造住宅に取り込みが容易なので、保有水平耐力・限界耐力計算による検証で可能ですが、免震構造ではやはり時刻歴による検討が必要となります。さらに、これらの最先端技術を建物に取り込むためには、解析精度を考慮すると模擬地震波を作成した時刻歴地震応答解析が最も適当であるといえます。このように、木造建物の設計・施工は今後高度化されていきます。 さらに、2012年6月木造耐震診断補強設計の基準である一般財団法人 日本建築防災協会発行の「木造住宅の耐震診断と補強方法」が改訂されました。
 設計工匠尾生では、「統合木造耐震診断補強設計ソフトウェア EQP」を、日本建築防災協会 「木造耐震診断・補強設計2012年改訂版」発刊を機に、この改訂を好機ととらえ、EQP統合したうえで新機能を追加いたしました。EQP開発の今回のコンセプトは、一貫木造耐震診断補強設計です。改訂された基準で追加された、たれ壁・腰壁付独立柱の耐震性能については2012年度改訂版は表形式で表示されていますが基本的な寸法を想定した結果であることから、基本的な寸法から乖離した場合使用できません。弊社では、これらの性能評価を「基礎理論式から計算し個別評価」できるように開発した例からもご了解いただける様に簡易な操作で精密な解析の基本姿勢がより一層明確となっております。 
 改訂されたEQPにより設計者本来の業務である「設計物件の詳細な評価」のお手伝いに活用していただけると幸いに存じます。

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改訂版対応 統合木造耐震診断補強設計プログラム EQP 工務店から設計事務所様まで 

対応です。 改訂版対応
統合木造耐震診断補強設計プログラムEQP

EQPホームページ素材

精密耐震診断法1 (保有耐力計算法
精密耐震診断法2-1(保有水平耐力計算法
精密耐震診断法 2-2(限界耐力計算法
精密耐震診断法 2-3(時刻歴地震応答解析法

保有水平耐力計算法・限界体力計算法で伝統工法木造建物・大規模非住宅も解析制振部材による補強設計機能も装備

高い 特殊な建物も解析できる
床の吹き抜けが多い
耐力が偏在(偏心が大きい)
層剛性が偏在(層崩壊の可能性大)

EQPマニュアルでわかりやすく簡易CADによりデータ作成、保有水平耐力法を説明しています。

簡易CAD画像

EQP 時刻歴地震応答解析

3 免震構造 制振構造
免震構造のタイプ別詳細解析
免震構造と制振構造のハイブリット構造解析
h 等価せん断モデル
h ねじり振動モデル

EQP 模擬地震波の作成
表層地盤による増幅を計算
等価線形化解析による地盤増幅計算を行い目標応答スペクトルに適合する地震波加速度時刻歴を作成します。 地盤増幅計算では、基盤に入射する地震波の表層地盤による増幅を計算します。

模擬地震波作成
表層地盤による増幅特性から目標応答スペクトルを算定し、正弦波・余弦波の重ね合わせにより、設定した目標応答スペクトルに適合する地震波の加速度時刻歴を作成します。
 •目標応答スペクトルは、建設省告示第1461号に基づく加速度応答スペクトルです。
 •作成する地震波の位相特性は既存地震波の位相、または乱数位相を選択できます。
 •乱数位相を入力する場合の包絡関数は、Jenningsモデルです。
 作成した地震波時刻歴データは、「EQP」で読み込んで使用します。
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シミュレーション画像

 精密解析画像

EQP 保有水平耐力・限界耐力計算・時刻歴応答解析で床の吹き抜けが多い・耐力が偏在(偏心が大きい)層剛性が偏在(層崩壊の可能性大)などの特殊な建物はもちろん時刻歴応答解析の解析結果を比較検討し、より高度な耐震補強設計ができます。それだけでなく、建設地で将来予想される模擬地震波も作成でき、木造耐震補強設計の最先端技術による詳細な検討が可能です。

✔ 特殊な形状(細長比の大きい・偏芯が大きい)建物の解析合に、ぜひ、有償サポートをご利用ください。

12 マニュアルでわかりやすく時刻歴地震応答解析、保有水平耐力、限界耐力計算法を説明いたしました。
 時刻歴地震応答解析技術をマスターするには、EQP (B_DYNA・W_DYNA)を使って解析しながら習得することが最も効率的です。EQPを使ってレベルアップ。この機会に是非お申込み下さい。

✔ 弊社のソフトウェアの最大の特徴は木造建築物においても時刻歴応答解析により免震・制振構造設計を精算します。(限界耐力計算による免震構造設計・エネルギー法による制振構造設計は略算法であり時刻歴応答解析で解析すべきです。)

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製品案内
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伝統工法耐震設計 EQP

1.大地震による木造建物の被害
 木造建築物は、大地震によりたびたび大きな被害を被ってきました。特に1995年兵庫県南部地震では、木造建築物は甚大な被害を受け、その後も2000年鳥取県西部地震、2001年芸予地震、2003年宮城県北部の地震、2004年新潟県中越地震、2007年能登半島地震、2007年新潟県中越沖地震などの大地震で大きな被害を受けました。社寺建築物など伝統構法木造建築物も少なからず大きな被害を受けています。
 このような被害から、伝統構法の耐震性能が問題になっています。過去の大地震による伝統構法木造建築物の被害を分析してみると、倉庫、車庫、農小屋、店舗併用住宅など一階部分に耐震要素が少なく建物の平面的、立体的な構造バランスが悪いため耐震性能を満たしていない建物が多いこと、また築後年数が長く、腐朽や虫害などによる劣化が被害を甚大化させる原因となっていることが指摘されてきました。
 しかし、伝統構法の木造建築物は、大地震で土壁の亀裂、剥落などの被害を受けても大破、倒壊に至っていないものが多いことも指摘されました。2007年能登半島地震で大きな被害を受けた石川県鳳珠軍穴水町にあった民家は典型的な伝統構法の民家であります。地震で大きな変形を受けた障子のように建物も大きな揺れとなったと推定されますが、木造軸組には大きな被害を生じていません。このように、伝統構法木造建築物は、木組みの仕口接合部や軸組がしっかりしていれば、大きな変形性能を有しているので、地震で大きな揺れが生じても大丈夫と言えます。

2.伝統構法木造建築物と建築基準法
 我が国の木造建築物は、軸組構法が古来からの構法として継承・発展してきました。その他に、枠組工法(ツーバイフォー工法)、丸太組構法(ログハウス)などがあります。軸組構法には、「在来工法」と「伝統構法」があります。
 ここで、伝統構法とは、どのような木造建築物なのか、混乱しがちなので定義しておきます。建築基準法施行令第3章3節の木造の規定は、概ね「在来工法」に対するものであり、いわゆる4号建築物として扱われている2階以下の木造建築物のほとんどが在来工法です。基礎を設け、その上に土台、柱を緊結する、仕口接合部を金具補強するなどの仕様規定のもとに、筋かいや構造合板など耐力壁の壁倍率に基づいた壁量計算(図1)によって耐震性能を確保するように建てられた木造建築物が在来工法です。
 一方、「伝統構法」では、柱一横架材など仕口接合部は金具補強がほとんどなされず木組みによるものであり、筋かい等の斜材や構造合板等の面材が用いられず土塗り壁、土塗り小壁が多用されています。また磯石建て(石場建て)と呼ばれる、柱脚を磯石に載せただけで固定しないものが多く存在します。従って、前述の施行令第3章3節の木造の仕様規定を満たしていません。建築基準法において、「伝統構法」は明確に記述されていないのが実情です。では、伝統構法の木造建築物は、どのような構造設計などがなされいるのでしょう。

3.伝統構法木造建築物の性能評価

資料

 2000年6月に建築基準法が改正され、仕様規定から性能規定への移行がなされ、建築物満たすべき性能を明確に記述する性能規定型設計法が導入されました。建築物の耐震設計においては、耐震性能を設定し、それに基づいて設計された建物の耐震性能を評価・検証し、耐震性能を確保することが基本となりました。さらに2007年6月に建築基準法が改正され、建築確認・検査が厳格化されています。
 耐震性能を評価・検証する方法として、木造建築物の構造計算規定の枠組では、図1に示すように構造計算ルートによって壁量計算、許容応力計算、限界耐力計算、時刻歴地震応答計算、などの計算法があります。(限界耐力計算法、時刻歴応答解析を参考にしてください。)
 木造建築物のうち、いわゆる4号建築物として扱われている2階以下の木造建築物のほとんどが在来工法であり、図1の壁量計算によっているのが現状です。この場合建築基準法施行令3章3節の木造の仕様規定のもとに、筋かいや構造合板などの耐力壁の壁倍率に基づいた壁量に依存し、また仕口接合部を金具補強により、耐震性能を確保するものであります。一方、「伝統構法」の木造建築物は、筋かい等の斜材や構造合板等の面材がに加えて金具等による補強がほとんどなされておらず、施行令3章3節の木造の仕様規定に反するため、簡便な壁量計算による構造計算は適用できません。
 2000年6月に建築基準法によって新たに導入された限界耐力計算は、この仕様規定によらなくても良い検証法として位置づけられており、限界耐力計算によって構造計算を行えば、耐久性などの規定を除いて仕様規定の適用が除外されるため、仕口接合部と金物を使わない伝統構法の木造建築物も建築基準法の枠組みの中で設計が可能となりました。伝統構法木造建築物は、木材と木組みの粘り強い特性を生かして耐震性能を発揮するものであり、それほど大きな耐力はありませんが、能登半島地震での事例や実験でも証明されているように大きな変形性能があります。
 従って、伝統構法木造建築物の耐震性能を適切に評価するには、耐力と変形性能の両者を考慮することが重要となります。基準法の枠組では、「限界耐力計算」がこの両者を考慮した耐震性能を評価することが可能な計算法です。このような背景から、伝統構法に用いられる各種の耐震要素や実大木造建築物の静的実験や振動台実験が実地され、伝統構法木造建築物に適用できる限界耐力計算に基づく耐震性能評価法や耐震設計法の実用化が、日本建築学会「木構造と木造文化の再構築」特別研究委員会、日本建築学会近畿支部木造部会及び日本建築構造技術者協会関西支部のもとでなされ、「伝統構法を生かす木造耐震設計マニュアルー限界耐力計算による耐震設計・耐震補強設計法ー」にまとめられています。

4.伝統構法木造建築物の確認申請
 ようやく伝統構法木造建築物は、限界耐力計算のもとに合法的に多くの新築が着工なされるようになりました。しかし、2007年6月に建築基準法が改正され、構造計算適合判定などが導入され、建築確認・検査が厳格化されました。限界耐力計算によって安全性を確認したものは、小規模な木造住宅であっても構造計算適合判定が必要とされるようになりました。
 2007年の建築基準法改正以後、伝統構法木造建築物については、確認申請の受付や工事の着工が著しく減少しました。
確認申請の減少や確認申請業務の遅延が生じている要因として、確認申請への送付書類が増加し、申請者、審査機関の負担が増加したこと、また建築主事及び指定確認検査機関による建築確認に加えて、構造計算適合判定を求められるようになったことが挙げられています。また、伝統構法木造建築物の確認申請における構造設計が限界耐力計算によって可能となりましたが、限界耐力計算が木造建築物で一般的にもちいられてきた壁量計算と大きく異なり、仕様規定ではなく性能規定型設計によることが大きな理由となっているように思えます。
 ここで、伝統構法木造建築物の構造計算おいて、必要とされる主な検討項目を表1に示します。構造安全性を確かめる計算の多くは、許容応力計算などによる一般的な構造計算であり、地震時の構造安全性、すなわち耐震性能を検証する限界耐力計算に関連する項目は、構造計算全体の一部です。

資料

 最近ようやく、伝統構法木造建築物においても、確認申請時に必要とされる書類、特に構造設計関連のへの送付書類が整備され、確認申請の手続きが進むようになりました。設計者には、伝統構法木造建築物の限界耐力計算による構造設計が性能規定型であることの認識をもって、適切な設計に取り組んでいただき、また建築主事或いは民間の指定確認検査機関、指定構造適合判定機関等には、速やかな審査、確認の手続きをお願いしたいものです。

5.伝統構法木造住宅の耐震補強
 伝統構法木造住宅の耐震補強事例として、京都に数多く現存する京町家について示します。京町家は、その多くが明治期から昭和初期にかけて建てられ、耐震性に問題ががあることが耐震調査で指摘されており、京町家の保存・再生には、耐震性能を把握し、耐震補強法を確立する必要があります。既存京町家の耐震性能を明らかにし耐震補強法を検証することを目的とした実大振動実験を、文部科学省「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」の一環として(独)防災科学技術研究所兵庫耐震工学研究センターの実大三次元振動破壊実験施設(E-ディフェンス)を用いて実施されています。
 移築した京町家と新築した京町家の2棟の実験を2005年10月~11月に実施された移築の京町家の耐震性能と耐震補強を見てみます。

資料

 実験で使用された建物は、京都市に立つ築73年の京町家を解体、移築したものです。平面形式は1列3室型と呼ばれる典型的な京町家の間取りとなっています(図2)。
 振動台実験では、先ず無補強の状態で、基本的な振動特性をもつ中地震動に対する地震時挙動、履歴特性などの把握を目的に実験されています。次に、移築試験体の耐震性能評価に基ずいた耐震補強を実地し、中地震動、大地震動に対して耐震補強法の有効性を確認しています。最後に、1995年兵庫県南部地震で神戸海洋気象台で観測された地震波(JMA-Kobe波)で3方向加振を行い、倒壊しないことを確認する実験で終了しています。
 上記の耐震補強は、限界耐力計算による耐震補強設計を行って実施されています。第1種および第2種地盤を想定した場合、張り間方向は側壁があり、特に問題は見当たりません。一方、けた行方向の最大応答変形角は第2種地盤の場合1/15radを大きく超える結果となっています。これらから、けた行方向の主要な構面毎に耐震性能評価が行なわれ、変形が大きくなる、X8構面からX12構面の間に耐震補強が必要と判断されています。
 京町家移築試験体のように伝統構法木造住宅は高い変形性能を有しており、その性能を生かすため、耐震補強において高い変形性能を有する耐震要素を用いるできでしょう。ここでは、乾式土壁(荒壁パネル)による土壁、袖壁と小壁を組み合わせた門型土壁と、木材のめり込み特性を生かしたはしごが型フレームが用いられています。最も耐力の低いX12構面の1階に門型、2階に土壁を配置し、通り庭のX10構面とX12構面にはしごが型フレームを配置する補強では、最大応答変形角は第2種地盤とした場合でも1層で1/20red、2層で1/24redとなっています(図3)。            
 移築京町家は、小地震加振から土壁の亀裂や剥落などの損傷が生じますが、限界耐力計算に基づく耐震補強法、耐震設計法を用いることで、既存京町家の耐震補強ができ、また新しく京町家を建築することができることが示されています。

                
6.伝統構法木造建物の振動台実験による構造力学的解明

資料

 伝統構法木造建築物は、構造力学的に未解明な部分がまだ多く残されています。その代表的な課題として柱脚仕様の問題があります。木造建築物では、柱脚を土台に緊結する仕様が、現在、一般的となっています。しかし、伝統構法木造建築物では柱脚部を土台に固定することなく、足固めを設けて柱脚磯石等に載せただけの石場建て構法となっている建物が多く存在し、地震時に柱脚の浮き上がりや滑りが発生する可能性があります。そして、それらが地震時の建物の揺れや安全性に及ぼす影響は良く分かっていません。
 また重要な課題として水平構面の問題があります。木造建物で床構面を剛床仮定とすることが多く、床構面の剛床仮定を満足するために床倍率の大きな床仕様が一般的になってきています。一方、伝統構法木造建築物では柔な床仕様が多く用いられてきました。床構面と同様に屋根の架け方などについても地震時の建物の揺れや安全性に及ぼす影響は未解明であります。

 このような状況から、伝統軸組構法木造建築物を構造力学的に明らかにするために、文部科学省「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」の一環として伝統軸組構法木造建物の実大試験体を制作し、(独)防災科学技術研究所兵庫耐震工学研究センターの実大三次元振動 破壊実験施設(E-ディフェンス)を用いた振動台実験が2007年1月9日から2月2日にかけて実施されました。

(1)振動台実験の目的
 伝統軸組構法木造建築物には、構造力学的に未解明な部分がまだ多く残されていますが、中小の振動台では規模的に難しく、これまで実験的に解明することができていなかった柱脚部、床構面や屋根構面など伝統構法の仕様に注目して、以下の実験が行なわれました。
1)柱脚を土台に長ほぞ込み栓留めする仕様(土台仕様)と足固めを設けて柱脚部をを固定しない仕様(足固め仕様)の2種類の試験体を用いて、柱脚部仕様が地震時挙動に与える影響を明らかにします。特に、足固め仕様の場合には、柱脚の滑りや浮き上がりなどが地震時挙動に与える影響について検証します。また、土台仕様では、ほぞの弱軸方向の破壊に注目しています。
2)床構面の仕様を剛、半剛、柔な仕様にするとともに壁配置を変えることによって偏心の大きさをパラメータとした試験体を用いて、地震時挙動を明らかにします。
3)屋根構面の仕様、ここでは一般的な切妻屋根を対象にしていますが、切妻屋根を短辺方向にかける場合と長辺方向にかける場合の2種類の瓦葺き屋根の試験体を対象に加振実験を行い、屋根の架け方の違いが建物の挙動に与える影響を明らかにします。

(2)試験体の概要

資料

 上記の実験目的のため、床(水平構面)仕様と柱脚仕様の違いのよる影響を主に調べます。試験体(以下標準試験体)6体と、屋根仕様の違いをみる屋根付の試験体(切妻屋根試験体)2体を製作されました(写真11、12参照)いずれの試験体も、柱一横架材接合部については、既往の実験で優れた変形性能が認められたやといほぞを採用しています。試験体に使用する主要な木材には、徳島県産の杉材の自然乾燥材を用いています。
1)標準試験体
 1列3室型平屋建ての同じ平面形状(2間×6間)と軸組で柱脚部(土台仕様と足固め仕様の2種)及び床仕様(剛、半剛、柔の3種)が異なる6種類の試験体を製作しています(写真11、および図4を参照)。なお、それぞれの試験体の短辺方向に設けた壁配は、偏心率をパラメータとする加振計画に基づき配置換えを行っています。
 標準試験体の加振実験は、スケジュールに基づき、同じ軸組を用いながら床の仕様を変えた試験体を振動台上に配置換えして実験を行いっています。剛床仕様は、構造用合板を住宅金融公庫の仕様に基づき構造用合板及び下地となる根太の施工を行っています。半剛床仕様の床板は、徳島県産の杉で規格化された厚さ30㎜で本実加工が施された製品を用いています。釘は根太上に床板上部面より各々N90を3本打ちとしています。さらに、柔床板用い、根太は転ばし根太としています。
2)切妻屋根試験体
 2列3室型平屋建ての規模で、(3間×6間),軸組,柱脚部(足固め仕様)は同じですが、切妻を長辺及び短辺とする2種類の試験体を制作しています。(写真11を参照) 
 切妻屋根の架け方の違いによる振動特性検証試験体の共通仕様を表5に示します。2つの試験体は屋根形状の違いが建物の耐震性能にどう影響するのかを実験で確かめるため、小屋組の仕様をそれぞれ変化させていますが、桁から下部の仕様の共通となっています。
 軸組仕様としては、既存の実験によって変形性能が高いことが確かめられている雇いほぞを用いています。両試験体の主要構面を構成する柱と胴差しの仕口および足固め仕様試験体の柱と足固めの仕口に採用されています。

(3)振動台加振実験の概要

資料

 振動台加振実験は、標準試験体の半剛床仕様、剛床仕様、柔床仕様で3日間、切妻屋根試験体で2日間で行われています。各加振ステージにおいて試験体2体を振動台上に並列に配置して同時に加振実験を行っています。標準試験体は、土台仕様1体と足固め仕様1体の2体となっています。

資料

 標準試験体では図4に示す壁配置で、切妻屋根試験体でも同様な壁配置で加振を行っています。短時間に壁配置の変更が可能な乾式土壁パネルを用い、実験中にパネルの張り替え作業を行っています。
 入力地震動は、おもに日本建築センター模擬波(BCJ=L2)が用いられています。日本建築センターが公開している波形(最大加速度356Gal,継続時間120秒)のうち0~60秒までの波形について、最大加速度を調節して用いています。さらに、試験体短辺方向を主要な加振方向としています。
 最終段階では、1995年兵庫県南部地震において神戸海洋気象台で観測された地震波(JMA神戸波)を3方向入力しています。

(4)実験結果
 標準試験体における地震時の応答性状について分析します。先ず、床仕様による特性を比較する、剛床仕様、柔床仕様に着目します。BCJ-2100、200、300、m/s2を短辺(Y)方向に加振した時の土台試験体の主要構面X1、X5、X9、X13における層間変形角の最大応答を床仕様、壁配置ごとに図5に示します。但し、横軸は試験体の主要構面であります。
 床仕様が剛床である場合には、壁配置による偏心率に応じて各構面の最大応答変形角が異なっていますが、X1構面からX13構面にかけて直線的となり剛体的に変形しています。
床仕様が柔床である場合には、壁配置A、Bにおいて壁が無い構面の応答変形角が大きくなっており、最大応答変形角などを求める際に床構面を考慮する必要があることを指摘しています。

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 次に、JMA神戸波加振時(短辺方向:818㎝/s2、長辺方向:617㎝/s2、鉛直方向:332㎝/s2)の足固め試験体、土台試験体の主要構面の最大応答変形角を図6に示します。土台試験体では、床仕様が剛床と柔床との違いがみられますが、足固め試験体では、剛床と柔床との違いが少なくなっています。一方、柱脚が土台仕様か足固め仕様かでは、短辺方向、長辺方向とも土台試験体よりも足固め試験体の方が小さくなっています。特に、Y1、Y5構面の長辺方向の最大応答変形角を比べると、土台試験体よりも足固め試験体の方が相当小さくなっていることが分かります。

資料

 柱脚位置に設置したレーザー変位計による柱脚の滑り量を図7に示します。ここではJMA神戸波加振時の足固め試験体(壁配置C)のX1Y1柱脚の滑りを例に示します。横軸、縦軸はそれぞれ長辺(X)方向、短辺(Y)方向への滑り量であります。床仕様にかかわらず、X方向には最大で20㎝程度、 Y方向には10㎝程度移動しています。このような柱脚の滑りが眉間変形に及ぼす影響をみるために、足固め試験体(剛床、壁配置C)の柱脚の滑り量と層せん断力応答の時刻歴を図8に示します。比較のため、同じJMA神戸波加振時の土台試験体の層せん断力を図8(a)に示します。これより、足固め試験体の場合には、柱脚が滑ることによって試験体に入力される地震力が低減されるとともに、試験体構面に作用する層せん断力も低減され足固め試験体の応答変形角が小さくなったと考えられます。
 次に、切妻屋根試験体の長辺を切妻とするL試験体と短辺を切妻とするS試験体の実験について検証します。JMA神戸波加振時の切妻屋根試験体主要構面の最大応答変形角を図9に示します。L試験体、S試験体の最大応答変形角はそれぞれ1/15rad、1/17radと大きな変形となっています。

資料

(5)伝統軸組構法木造建築物の振動台実験のまとめ

柱脚・床仕様の検証用試験体(標準試験体)を用いた実験からは、床剛性が低い場合には壁配置によって各構面の応答に違いが顕著に現れることを実証されました。また、土台仕様と土台を設けない足固め仕様とでは、入力地震動がそれほど大きくない場合には、両者の応答性状に大きな差異は見られませんが、JMA神戸波加振時のような大地震加振においては、足固め仕様の方が、柱脚の滑りによって建物の応答が小さくなることが検証されました。
 切妻屋根試験体の実験から、大屋根風に切妻屋根を架けるL試験体は、短辺を切妻にするS試験体に較べて小屋根部分が複雑に振動する事が見られました。また、壁配置が片側のみで大きな偏心率となる不利な条件下でのJMA神戸波加振時において、L試験体、S試験体ともに層間変形角が1/20radを超える大きな変形が生じましたが、柱などの木造軸組に亀裂などが見られたものの、倒壊に至るほどの大きな損傷はありませんでした。なお、この加振中に、両方の試験体で柱脚の滑りが見られ、最大20㎝程度、滑っていることが確認されました。
 土台を設けない足固め仕様場合、柱脚の滑りによって加速度応答が低減され、変形が抑えられる可能性が示されました。しかし、これを設計に生かすには、滑りの発生条件や滑り量などを制御する手法が構築されていませんので、今後の検討を要します。なお、小規模の木造軸組を対象にした実験や解析から柱脚滑りの発生や滑り量などを明らかにする研究が進められています

◆京都大学名誉教授鈴木佳之先生の「伝統構法木造住宅の構造計画・構造設計」を参考にさせていただきました。ありがとうございました。◆

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